変わる企業イメージ!コーポレートロゴ制作を徹底解説 〜クラスメソッドロゴリデザイン2017〜
こんにちは。CXデザイナー事業本部のスギヤマです。普段はモバイルアプリケーションやLINEアプリケーション開発に携わっております。
スギヤマが最初に入社した会社はゲームソフトの会社でしたが、より広域かつ応用のクリエイティブがやりたい、ということで、デザイン制作会社に転職しました。それまでデザインの制作経験はなかったのですが、先輩のひしめく社内のロゴコンペティションに参加し、自分が作成したサービスロゴがクライアント案件にて採用されるという経験をしました。それは私にとって初めてのデザイナーとしての仕事でもありました。
その後、アプリケーションやウェブサービスの制作に携わり、クラスメソッドに入社。それからもさまざまなロゴ制作の経験を積んできました。2017年にはクラスメソッド株式会社の新しい会社のロゴ(コーポレートロゴ/CIロゴ)のリデザインを手がけ、そして2022年にも再びリデザインプロジェクトに参加する機会をいただきました。
この記事では、2017年にクラスメソッド株式会社のロゴ制作に関わった経験について詳しくご紹介します。
これまでスギヤマがクラスメソッド内で制作してきたロゴの一部。左上からプリズマティクス株式会社、アノテーション株式会社、ネクストモード株式会社、ブログDevelopers IO、Developers IO CAFE、AWS支援クラスメソッドメンバーズ、アンダースコア株式会社、インサイトウォッチ、オプスウィッチ、パスレジ、カスタマーストーリーシリーズ、DevIOイベントロゴ2017、2018、2019、部署をイメージした家紋シリーズ「部紋」。
クラスメソッド株式会社 第5代目ロゴについて
第5代目ロゴ
第5代目のロゴは、第4代目のデザインをベースにしており、色とりどりの立方体が組み合わさり、より大きな空間を調和しながら形成することを目指しています。ロゴタイプは未来と伝統の両方を感じさせる書体を基本として展開。ロゴマークは鮮やかで元気なイメージを持ち、多様な色の組み合わせから生まれる個性的な特徴によって、他の企業様との差別化も成功していました。企業ロゴは組織のメンバーに大いなる自信を与え、同時にその象徴としての役割も果たします。
第4代目ロゴ
ロゴデザインのプロセス
ヒアリング・方向性の確認
当時は入社してまもない状況で、情報が少なく、まずは社内の方々にインタビューを行いました。直接社員の方からクラスメソッドの過去の歴史や企業の今後の方向性について学び、内からの視点を学びました。同時に競合他社のロゴに関しても調査し、どのようなデザインが採用されているのか、外からの視点について把握しました。
ヒアリングの際にはメモを取りながらその場で制作したアイデアを共有することもありました。
コンセプト設計・スケッチ・ラフデザイン
インタビューの中で浮かび上がったキーワードを拾い上げ、それに連想される形を複数の案として紙に制作しました。このプロセスではコンピュータ上ではなく、紙を使うことでアイデアの自由な発想を促しました。
初期の草案
ロゴ制作だけでなく、デザインの制作全般においても、私たちは完成後に依頼者に確認をしていただくのではなく、早い段階で共有することに注意しています。これらの草案はどれも拙いものばかりですが、私は最初から完璧なものを作ろうとすると、結局上手くいかないという経験から、頭の中にあるアイデアをまずは全て出し尽くすという姿勢でスケッチ・ラフデザインを行っています。
中期のアイデア。第4代ロゴの多色は扱いにくいという課題もあったため、カラー1色で構成できないかの提案を繰り返していた。これは頭文字Cが技術によって前進しているアイデア
クラスメソッド(コード上での表現 ::)を表現したアイデア
ただ、拙いアイデアが出せるのは社内案件の場合、コミュニケーションが容易に行えるからだという考え方もあります。一方、外部クライアントの場合には、ミーティングの回数や先方の意思決定までの時間が関与することが多く、この点は柔軟に対応する必要があると考えています。ロゴ制作には大まかな流れこそありますが、正解が一つとは限らず、その場その場で試行錯誤しながら制作を進めることが肝要だと考えます。
アイデアの残骸。クラスメソッドが成長している様子や、「何かを加える」ことでクラスメソッドが形作られている様子、などのアイデア
候補案の絞り込み・プレゼンテーション
長い作業時間を経て完成に近づいてきたものの、もう一度リセットし再考するというプロセスを経験しました。ロゴ制作には良くあることですが、如何に決裁者の胸の裡を汲み取るか、ステークホルダーの考えを汲み取るか、そしてロゴとしての完成度を保つか、といったバランスが求められます。ときには作ってみた成果物に対し、「やっぱりなんだかしっくりこない」ということで、ゼロベースからコンセプトを考え直すといったこともあります。
ブランドコンセプトから制作まで一本道に決まるのが理想ではありますが、現実的にはやはりプロジェクトに寄るのではないかなと思います。少なくともこの2017年のケースでは、怒涛のような最終展開となりました。
後期のアイデア。クラスメソッドが企業を支える。お客様が主役で我々はさまざまな形でサポートするというコンセプトだった
最終案を作成し、幹部会議で提出しましたが、あまり好評を得られず、再度検討する流れとなりました。様々な案を制作しましたが、今回の変更では急激な変化を求めるのではなく、第4代目ロゴのイメージを踏襲する方が良いという結論に至りました。オーダーをされる方は「なんだかしっくりこない」を明確に課題にしてくださるわけではありません。「これならしっくりくる」のクオリティラインまで引き上げるために、なにがNGでなにがOKなのか、その印象をひとつひとつ形にしていく作業が必要です。先の太さの印象、色の印象、モチーフの印象。言語化できない部分をさまざまな形で提示しながらそのラインを探ります。
後期のアイデアの一部
第4代目のアイデアを加工したもの
後期のアイデアの一部。ゼロベースで考え直すことになり、第4代目の形を少しずつ変形させながら印象の変化を確認した
最終案直前のアイデア。文字色が赤になっているのはメインカラーを設定し、利便性を上げたかったため。多色よりもメインカラーが一つのほうが扱いやすい
そこで、第4代クラスメソッドのロゴが持つ多様なイメージや立体的な要素を保ちつつ、イベント会場や看板、小さなノベルティなど、どの場面でも耐久性が担保されることを重視しました。色は白背景でも黒背景でも鮮やかに映えるようにし、ロゴタイプは明瞭に読みやすくする、横幅を調整して他社様のロゴと並列されたときに存在感が損なわれないようにする、何より会社の持つイメージにフィットするよう、さまざまなブラッシュアップを行いました。
アイテム実制作・マニュアル制作
完成
完成後はロゴを活用したマニュアル(ガイドライン)の作成やデータの準備、名刺や封筒などの印刷物に至るまで、ロゴの実際の使用に向けてデータの作成や監修、管理を行います。ただし、時折マニュアルに従わない使用が行われる場合などでは、適切な使い方をお願いしたり、チェックを行う必要もあります。
ガイドラインの一部
封筒への展開
名刺への展開
また後日、このクラスメソッドのロゴをベースに、アノテーション、Developers IO、アンダースコアなどもリデザインしていきました。(これらのロゴはどことなく同じような雰囲気がするはずです)
アンダースコアロゴ制作の様子
アノテーション。アルファベットの「a」と、呼びかけに答える「吹き出し、声」をイメージしたシンボルマーク。
アンダースコア。「u」「_」と王者、堅牢の盾をイメージしたシンボルマーク。
Developers IO。クラスメソッドのシンボルマークをより明快にしたシンボルマーク。
そして完成、実施へ
クラスメソッド東京支社 旧エントランス
クラスメソッド株式会社15周年記念謝恩会
15周年記念撮影
東京旧オフィスエントランスオブジェ
ユニフォームジャケットへの展開
ノベルティステッカーへの展開
第5代目のロゴは2017年から2022年までの6年間、幅広いシチュエーションで使用されました。社員の方々からは、「このロゴが好きですよ!」という声をたくさんいただきました。長い期間に渡って愛していただいたことに、心から感謝いたします。